Why_?下北沢では、日頃お届けしているものをより広く伝えていくために、定期的にマーケットイベントを開催しています。7月23日、24日には、「発酵」をテーマに、さまざまな切り口から「発酵」を紐解く「Why 発酵 ?」が催されました。
会場となったBONUS TRACK内には「発酵」にまつわる出店者が軒を連ねたほか、発酵させた染料を用いた藍染や、代表的な発酵食品のひとつであるみそ、そして酵素シロップを作るワークショップが行われました。
出店ブースやワークショップで実際に手を動かし、味わい、「発酵」という現象を五感で楽しむことができる二日間となりました。
また、最終日には坂本美雨さんをお迎えし、ワークショップ参加者に向けた少人数制のライブも開催。心温まるムードのなかイベントが幕を閉じました。
レポートでは、ワークショップとライブを中心に当日の様子をお伝えしていきます。
藍染ワークショップ
23日はBotanicGreenさんが草木染と藍染を合わせた染めのワークショップを、24日はオーダーメイドの服づくりを行う「陽紀」のErikaSaitoさんが、自家栽培の藍染を使い、衣類をアップサイクルするワークショップを行いました。
こうした「染め」は、染料を作る過程で原料となる植物を発酵させています。発酵させることで、藍であれば色に深みが出たりと、仕上がりに違いが生まれてくるのだと言います。
染料となる植物や染める回数などによりさまざまな表情を見せる草木染め。発酵による染めの力を借りて、会場では、ハンカチやバンダナ、洋服などに次々と新しい命が吹き込まれていきました。「何年も着てきた服なのに、雰囲気が全然違って新鮮!」といった驚きの声もあがりました。
みそ作りワークショップ
北海道産の農薬不使用大豆と山梨県・五味醤油味噌の麹で仕込む“手前味噌”作りのワークショップ。
甲州を始め、日本のあらゆる地域では、古くより各家庭がみそを仕込み、それぞれの「家の味」をいただいていました。同じ畑で育った豆を使っても家ごとに味が異なるのは、作る人の手に住み着く常在菌が、発酵の過程でそれぞれの変化を辿っていくためです。これは、発酵食品の面白さのひとつと言えるでしょう。
今回は、そんな発酵の醍醐味を楽しんでいただくべく、初めての方でも気軽に取り組める形でみそづくりのワークショップを開催しました。
自宅でのみそ仕込みといえば、「準備に手間がかかるし、大きな容器の置き場所に困る」という声が聞かれますが、今回は材料を最小限に、豆は下準備が済んだ状態で、コンパクトな専用ボックスをご用意。本棚に保管することも可能ということで、参加者の方に好評でした。
麹は、米麹と麦麹をミックスしたものを使用。この2種類を混ぜて仕込むのが、甲州味噌の特徴です。
WSは事前に蒸した状態の大豆をお渡しするところからスタート。
大豆を潰してペースト状にして、麹と塩と混ぜていきます。
大豆を潰していくのが一番の難所。みなさん親子で協力して頑張っていました!
「大豆が潰れない状態で混ざっているのも、あとでお味噌汁に現れた時に楽しく、美味しい。仕込む際に空気が入るとかびる原因となってしまいますが、大豆の粒が数粒残っていても、周りが密接していれば大丈夫です」と経験者のアドバイスも。
仕込む合間には、参加した子供たちが手前味噌の歌を歌って踊る一コマも見られました。
1時間程度のワークショップだったので小さなお子様も疲れることなく楽しんでくださいました。
無事仕込めたみそは、半年〜10ヶ月ほどでいただくことができます!自分達で仕込んだみそは他にない味わいです。美味しくいただいて、免疫力をあげていきましょう。
酵素シロップワークショプ
料理家・SHUNNO KITCHENの二部さんを講師にお迎えし、酵素シロップづくりの実践とアレンジについてレクチャーしていただきました。
酵素シロップとは、野菜やフルーツ、ハーブなどに砂糖を加えて作る発酵食品のひとつ。発酵菌や常在菌、微生物が化学反応を起こして発酵するメカニズムを利用します。発酵させることにより、旨味や栄養素が増していくのです。「シンプルなシロップに比べて、発酵させた方がより複雑な美味しさになっていきます」と先生。
みそと同じく、人の手の常在菌を発酵の種にするため、同じ食材を使っても、作る人によって全く異なる味に仕上がります。どんな味に着地するかは、作ってみてのお楽しみです。
今回は、レモン、河内晩柑、マンダリンといった柑橘ベースと、パイナップルベースの2種類から選んでいただき、さらにプラム、ブルーベリーなどの季節の果物をプラスして酵素シロップを作っていきました。
会場では先生があらかじめ仕込んだサンプルを使い、発酵の有無やハーブを入れた場合による味の違いを参加者全員で検証。小さなお子様もその味の違いに驚いていました。
「発酵すると甘くてフルーティーな中に旨味がありますよね。3日前くらいにここへミントを入れてさらに複雑な発酵を促しました。お花みたいな香りがしませんか?」
ハーブを使って味を変えていくのが二部さん流です。
「砂糖、フルーツ、の順で層を作っていき、最後は砂糖で蓋をする。そうするとフルーツから水分が出て混ざり合いやすいんです」。
シロップが発酵するまで夏は2週間、冬だと1ヶ月ほど。直射日光が当たらないところで保存し、石鹸を使わずに綺麗に洗った手で、1日1回かき混ぜます。こうすることで発酵が進み、おいしくなります。
さらに当日は、シロップを美味しく活用していただく方法もたくさん伝授していただきました。紅茶やビール、焼酎にひと垂らし(お酒にはレモンベースがおすすめだそう)。
ドレッシングにするのもおすすめということでワークショップ内では2種類のドレッシングを作り、その場でサラダにかけていただき、残りを家でいただけるようにラッピング。
「酵素シロップの面白さは、何より想定していなかった美味しさに出会えること。食生活が豊かになること。免疫力もアップします。今こそ取り入れてみてほしいなと思います」。
坂本美雨スペシャルライブ
今回はみそ作りと酵素シロップづくりのワークショップへ参加いただいたみなさまをご招待。実際に作ったみそと酵素シロップにも音楽を聴かせて、発酵を活性化させようという、冗談のようですが主催者にとっては本気の意図も込められた企画です。
Why Juice?とは、とあるフェスでご一緒したのをきっかけに親交のあった坂本さん。今回は、ブランドとイベントの趣旨に共感し駆けつけてくださいました。
短い時間でしたが濃厚な曲のラインナップ。美しい歌声で会場を癒しながら、歌を通じて、身近にいる家族やパートナー、親や子のことなど、人間関係や人生、生き方を見つめ直すきっかけを提示。戦場へ子を送った母の悲しみをメロディーに乗せた『ダニーボーイ』の最中には、涙を浮かべる参加者たちも。
笑い、癒し、誰かを思っての涙、人生の楽しみなどが共演した1時間となりました。発酵は化学反応として説明されますが、人間の営みそのものも発酵と同じく日々関係性の中で変化していくものなのだと考えさせられる時間となりました。
Why_?下北沢では、今後もさまざまなイベントを開催していきます。次回のWhy マーケット ?も乞うご期待ください!
Botanic Green https://botanicgreen.com/
Erika Saito https://haruki333.theshop.jp/
SHUNNO KITCHEN http://shunnokitchen.com/